2007年06月03日

とある宿屋での風景 -その1-

「新たな遊戯道具を入手した」
「何だそれは」
「東国の遊戯道具で麻雀と云う」
「ほう、麻雀」
「四人でテーブルを囲み、百三十六枚の駒を組み合わせるのだ」
「ほう」
「そして組み合わせによって役という物が作られる」
「──役」
「そう、役だ。役には様々な物がある。大きな役を作れば勝利はより近くなるだろう」
「そのような大味な遊戯、果たして面白いのか」
「面白いさ──」
「しかし」
「大きな役だけではなく、小さく簡単な役もある。役は大きくなればなるほど作るのが難しい」
「その殆どは運が絡んで来るのではないか」
「運だけではない。実力も相応に必要だ」
「俺はその遊戯を知らんのだぞ」
「では麻雀をやらぬのか?」
「やらぬとは言っておらん」
「ならばやるか」
「うむ」
「やろう」
「やろう」


 そういう事になった。
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posted by Altair at 04:20| Comment(0) | とある宿屋での風景