2007年05月20日

探索手記 -二日目-

 以前の探索から思っていた事だが、「招待者」の指定する遺跡はどうやら普通ではないようだった。
 そもそも鹿が喋ったりする時点で普通ではないのだが、その辺は魔法生物とかそういった形で無理矢理説明をつけられる。
 だが、今回のはその範疇外だった。地下にある筈の遺跡は、見上げると天井ではなく空と雲。以前の所はだだ広い空間に森や山こそあれ、「崩れかけた天井」が遺跡であるという事実を示していた。
 しかし、今度の遺跡にはそれがない。幻術の類なのか、或いは「地下●階」と称した別の場所なのか、それすら不明だった。
 階段を降りて行ったという記憶はある。違和感を覚えさせずに大量人数を転移させる事はまず出来ないだろう。
 であれば、目の前に広がっている景色は「島の地下」にある筈だ。大規模な幻術と考えるのが妥当な線か。

 普通ではないといえば、集まる者の時間軸も様々なようだった。
 以前の島が崩壊した後、私はケイロンさんと孤島で二ヶ月程度を過ごし、そして手紙を受け取った。月の満ち欠け、日の落ちる回数を数えていたのだから間違いは無い。
 しかし、以前の知己の一人は一週間程度で手紙が届いたという。また、ある者は子供が出来て育つ程時が過ぎていたようだ。
 時間を超えて届けられたのか、あるいはこの遺跡自体が別次元にあるのか。全くもって予測が立たない。
 仮に時間を超えて届けられたのであれば、「招待者」は相当な力や技術を持っている事になる。そういう者の主催する「パーティ」は基本的にろくなものではない。
 ろくなものではないのだが、何故だか惹かれるものがある。手紙自体に魅了の魔法が掛かっていたのか、あるいは──

──私自身が、そういう「ろくでもないパーティ」を望んでいるのか。

 初めにここを訪れた時、わざわざ和葉君──エルタ=ブレイアで共にマナハンターとして戦った人に手伝ってもらってまで出てきた理由を考えれば、答えは出るだろう。
 閉鎖されたはずの場所から無理に出てきた理由。あまりにも怪しい、この招待状の差し出し主を突き止める。言い換えれば、好奇心の充足だ。

 マナハンターは、マナを集める事で力をつけて財を為す。しかし、私はマナを集める事自体にはさほどのこだわりを持っていなかった。
 では何故マナハンターなどをやっていたのか。互いに争い、打ち負かしてマナを奪い、打ち負かされてマナを奪われる。
 勝ち負けよりも戦闘そのものに目的があったように思える。つまり、私は戦闘による刺激を欲していたのだろう。
 今回の探索にしてもそうだ。新たな場所、未知の遺跡を探索するという刺激を私は求めている。
 だから、普通の人ならばあっさりと蹴ってしまうだろう招待状の文言に乗ってやって来たのだ。

 果たして、以前の探索では私は目的こそ果たせなかったものの、想像以上のものを得ることが出来た。
 今度の探索では何を得ることが出来るのだろうか。それを考えただけで、心が躍るのが解る。
 結局、私は刺激が欲しいのだ。
 体温が三度は上昇するような、触れるだけで火傷しそうな刺激が。

 これも「招待者」の想定内だと思うと少し悔しい。
 やはり、今回の探索で何とかして彼の正体に辿り着きたいものだ。
posted by Altair at 13:40| Comment(0) | 探索手記
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