2007年01月17日

探索手記 -九日目-

全員に漂う疲労感。
私達は敗北による傷で。
冒険慣れしていない人たちは、その緊張感で。
冒険慣れしている人たちも、普段とは違いすぎるその環境で。
これ以上の探索が不可能であると判断できるほど、それぞれ疲労していた。
そのせいかは全く不明だけれど、気付けば私達は遺跡の外へと脱出していた。
遺跡外は中と違い様々なものがある。
リフレッシュするための充分な広さは勿論、食料となる山菜──自生している植物類、そして私達のような探索者相手の商売人も。
外に出られた事による開放感は図り知れず、また遺跡内と違って外敵に襲われる心配もない。

余談だが、遺跡外には遺跡内のような凶暴化した動物が居ない。という事は遺跡内には動物を凶暴化させる何かがあるのだろう。
これも調べるだけの価値はありそうだ。

遺跡外での暫しの休息によって疲労を回復した私達。
私は商人から保存食を幾つかと駄石と呼ばれる原石、そして自生している植物を持てるだけ手にして準備とした。
保存食同士を合成すると宝石になるそうだ。私が保存食を購入したのはこの為。
パーティ内では皆めいめいに買い物をし、ほぼ全員がこの宝石を狙って保存食を購入していた。
一人が一日に物質合成をできるのは、時間の関係上三回だけ。
そして私達のパーティには合成師が二人…つまり、一日に六回しかできない。
対してパーティメンバーは九人。圧倒的に手が足りていなかった。
そこで、それぞれの伝手で外部へ依頼ができるようなら外部に、それが無理な人は内部で合成すると決まった。
私はというと、魔石の作成依頼が来ていたのでその方と相談し、先方パーティ内の合成師の方に合成を依頼するという事になった。私は運がいい。

そんなわけで、私の手元には闇がそこに凝り固まったかのように黒い宝石と、溢れる鮮血のように真っ赤な枝がある。
これらを魔石とローブに加工する事になるのだけど、後者はともかく前者は扱いが難しい。
宝石そのものの硬度、性質、そして内部に孕んだ「何か」。それらを殺さずに加工する……素人では無理だろう。
私の手に負えるかどうか…依頼では成功した。恐らく大丈夫。

考え事はそこそこに、私達は遺跡へと再度入り第二次探索を開始した。
魔法陣の形状をイメージすると、瞬時にその魔法陣へと辿り着く…これも魔法的な力が働いているように思える。
形状をイメージする──雑念が入ると別のところへ飛ばされるという事だ。
例えば何か言葉が耳に入ったならばイメージに別のものが混ざるだろう。
その言葉が「壁の中」であれば最悪魔法陣ではなく壁の中…つまり、無機質との細胞置換によって生き埋めとなり死ぬ。
尤も私は死なないので、その場合は永遠の苦痛を受ける事になるのだろうか。兎に角、雑念を排除しなければいけない。
瞳を閉じて集中し、瞬間的な浮遊感の後目を開けるとパーティメンバーの姿が映る。どうやら九人揃って同一の魔法陣へ飛ぶ事が出来たようだ。あとは、砂漠を抜けて先へと進む事になる。
砂漠に足を踏み入れた私達を待ち受けていたのは、鋭い牙を持った大きな蜥蜴と、同等の大きさを持った蟻だった。
posted by Altair at 16:18| Comment(0) | 探索手記 -第一回探索-
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