2009年07月02日

Summer Vacation - 00

夏休みやっちゃうよ!という頼もしい宣言があったので、せっかくだから参加しちゃうよ!
今回は死神紳士(968)の人と半リレー形式でやってみようかと!

とりあえずは序文ということで、簡単に。

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 日差しが照りつけている。
 じりじりと熱せられた空気は、見上げるまでも無く快晴である事を示していた。
 この島を訪れて幾度目かの夏。前回よりも静かなものだった。

 突如告知された探索中断から数日が過ぎた。
 中断の理由は知らされないまま、ある者は次の冒険を求めこの島を去り、またある者は私のように残っている。
 私が残っている理由は簡単だ。そもそも私は気の向くままに旅をし、冒険や探索で生きる糧を得る放浪者であり、そして気が向かなければいつまでもその場に留まっている。つまり、今の私は旅に出る気にならないから残っているというだけだ。

 嘗て遺跡外と呼ばれ賑わっていた場所に私は居る。
 残っている者が居るとはいえ、探索中に比べると、やはり寂しさが感じられる程度には落ち着いていた。
 探索が中断されている今、当時のように積極的な作製技術や素材の売買は行われてはいない。だが、その代わりに料理技術を用いた簡素な屋台のような出店が立っている。東方に於いては、このような屋台が良く並ぶ祭りがあるというが、まさにそのような雰囲気だ。
 この島には様々な場所から様々な者──当然、人に限らず──が集まる為、その食文化も多彩だ。それだけに、屋台のみでもある程度の活気は保てるのだろう。

 日差しが少々きつく感じられたので、日陰へと向かう。
 夏の日差しは総てを熱く明るく照らし出すが、私にとってはその明るさが少々辛い。
 枝を伸ばす大樹の下、幹に背を凭れる形で座り込む。時折吹く涼風が心地良い。

「そんな所に居たのか。少々探してしまったよ」

 目を閉じ、暫く風の流れを感じていると、不意に声を掛けられた。
 傍らに少女を連れた、シルクハットを被った背の高い人影。その振る舞いはある種貴族然としているようにも見える。
 しかし、彼は人の姿をしていない。大きなシルクハットの下から覗くのは、暗く窪んだ眼窩であり、本来ある筈の皮膚や肉は見当たらない──一言で言えば、生ける死者たる骸骨のような姿だ。
 とはいえ、彼は死者ではない。立派に生きているし、自身の意識も確固として持っているし、何よりも人としての感情を持っている。
 連れている少女の事は、私は良くは知らない。言葉を交わす事はあっても、深い所に踏み込むだけの会話までは発展しないのだ。
 どこか遠慮があるのか、或いは躊躇いがあるのか、理由は自分でも解らない。時が来れば解決する類の事だと理解はしているので、それ程深刻に考えていないせいもあるのだろう。
 ともかく、彼女は彼──DGの傍らに居る事がしばしばあり、どうやらそれは私と出会う前から続いていたという事は確かなようだった。そして、私はそれに対して悪感情のようなものは持っていない。例えて言うならば、親娘を見るに似たような感覚だからだ。

「ごめんなさい、何か用事だった?」

 立ち上がりながら尋ねると、傍らの少女が一枚の紙を差し出した。
 そこには、短くシンプルに、夏祭りの開催を告げる一文が記されていた。
 この季節にはおなじみとなった、探索者の夏祭り。探索が行われていない現在に於いても行われるらしい。
 前回はドリンクショップ──その夜にちょっとしたトラブルはあったものの、楽しいものだった──を開いた。その前は、確かそれどころではなかったのだったか。
 なるほど、特定の誰かと過ごすのも悪くないだろう。それに、これは少女との距離を縮める機会にもなるかもしれない。
 折角の機会だ、共にどうかねという誘いに、私は即答で頷いた。
posted by Altair at 00:02| Comment(0) | Intermission
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